「優、携帯鳴ってるよ?」

「あ、ありがとう」



バイブにしたまま、震えている携帯を和泉から受け取る。
携帯のバイブは、すぐに止まった。

サブ画面には、『メールあり』の文字。
慣れた手つきで受信ボックスを開くと、今まででは見慣れない名前が飛び込んできた。



「メール?」

「うん」

「誰から?」

「秀」

「秀、ってさっきの?」



メールを返しながら、軽く和泉に相槌を打つ。



「へー、もうメールとかしてるんだー」

「別に何でもないから。ただの男友達だよ」

「へー、ふーん、そう」



ニヤニヤ笑いながらこっちを見ている和泉を軽く睨む。



「おー、こわっ」



和泉はわざとおどけて見せて、飲み物を取りに行くと言ってキッチンに入っていった。