「和輝ー、夕ご飯持ってきてやったよー!」



同じマンションの、隣の部屋に住む、幼馴染の佐藤和輝。

和輝の両親は共働きで、
よくこうやってごはんのおかずを持ってきたりしている。



「和輝ー?」



いつもなら返事があるのに、今日は返事が返ってこない。
それに、玄関に見知らぬ靴があったことを不思議に思いながら、和輝の部屋に行く。
2回ドアを叩いて、開ける。



「和輝、いたなら返事してよ!!」

「あー、わりぃ」

「てか、あれ。友達?」


「俺、和輝と同じ高校の河村秀晴!」

「斉藤、優です」

「てか優、今日、和泉んち行くんだろ?」

「ああ、うん。じゃあね!」

「おお、飯サンキューな」

「いえいえ!」



和泉、とは和輝の彼女で、私の親友。

お母さんに、和泉の家に泊まることを告げ、家を出る。
玄関の扉を開けると、さっきの…河村くんが居た。



「優ちゃん、俺のメール、シカト?」

「え?」

「俺さっき、優ちゃんにメール送ったんだけど。」

「え、メール?」

「うん、そう」



携帯を取り出し、メールを確認する。



「あ、本当だ」

「まあ、いいや。俺のアドレス、登録よろしくな!」

「え、あ。うん」



私が返事をしたのを確認し、和輝の家に入っていく河村くん。