「み・つ・け・た・ぞ❤」



 回廊をパタパタ駆ける、10歳ほどの少年。


 そのプラチナブロンドからのぞく白く長い耳を、ニコニコスマイルのアリスがむんずと掴んだ。



「わぁっ!? 何するんだっ、この女男!」


「美しくって悪かったね。血筋なもんで」


「なんてゴウマンなヤツ! お前なんか、女王様に比べたらその辺のぺんぺん草なんだからな!」


「失敬な。あのおチビちゃんよりは麗しいはずだぜ」


「どちらが失敬だ、この無礼者」



 バシバシッ!



 アリス自慢のハニーブロンドを、容赦なく扇子が往復する。



「いってぇ!」


「人がおらぬのをよいことに、陰口を叩くとは。あまり失望させるでない」