「香月くん・・・」

 私が繰り返して呟くと、

 「君は?」
 
 香月くんが私の名前を聞いた。

 「大竹 ナツメ・・・」

 ロボット、というあだ名があまりにも学年内に広まっていたので、
 名前を聞かれたことに私は戸惑った。

 「大竹 ナツメ?」

 「ロボットって、呼ばれてる・・・」

 ひょっとしたら、この人、私の名前を知らないかも・・・なんて無駄な期待を胸に抱いて、あだ名を口にしてみた。