「そんなこと、ないんじゃない?」

 誰かが呟くように言った。

 「え? 誰?」

 言葉を発した人がどこにいるか分からなくて、私はキョロキョロとその人物を探した。

 私の小さな呟きが聞こえ、私にも同じくらいの声が聞こえた。
 ということは、きっと近くにいる。

 「ここだよ、ここ。君の後ろ」