膝に抱いたそれを引き寄せ、ちゅ、と触れるだけの軽い口付けをする。


一呼吸おいて、羞恥に顔を歪めた沖田が肩を怒らせた。



「襲ってるじゃないですか!」

「阿呆、好いたもん同士が口吸うて何があかんねん。ちゅうかこんなん襲ったうちにも入らんしな。襲うっちゅーのはもっとこー……あ、さらし巻いてへ」

「ぎゃあ!?」

「い゛ででででっ!ちょ!髪は止め!」


抜ける抜ける!禿げたらどーする!


くっついていたこともあって、すぐ側にあった胸をちょっと寝間着の上から触っただけなのに、髪をむしる勢いで俺を引き剥がす沖田はなかなか容赦ない。


生娘かっ。


「ええやん、俺らもーそーゆー仲やろー」

「ちっ、違いますよっ!」

「え、ちゃうの?」

「う、や、その……」


わたわたもじもじと慌てる沖田。


これまでも初過ぎる程に初だとは思っていたが、こうなった今でも触れる事を拒否するようなその反応は些か可笑しい気がする。


……。




「なぁ、もしかして自分……未通?」

「っ」


……なんやな。


膨れた顔で視線を逸らすそいつに一先ず合点がいった。


今初めてあん人に同情したわ……。


堪える副長を想像して生温い笑みを浮かべた俺に、小さく肩を竦めたそいつはぽそぽそと言葉を漏らす。