「ちょ、痛いやないかいっ」
「貴方が変なとこ触るからでしょうがっ」
「ええやん減るもんやなし。自分がぼけーっと固まっとるからやろ。ちゅーか暴れとったら落っこちんで」
肩の上で俺から逃れようとする沖田も、そう言えばはたと大人しくなる。
全く以て簡単な奴だ。
「ん、ええ子ええ子」
そんな沖田が可笑しくて、普通に下ろすのも芸がないなと思い直した俺は、その体を抱いたまま棟へと腰掛けた。
よいしょと下ろした沖田は自然と横向きに俺の膝に座ることになり。
案の定そいつはみるみる眉間に皺を刻んでそっぽを向いた。
「……ちょっと」
「文句があるんやったら自分で他所座り。俺はそれでもかめへんで」
ほれ、と手を離してゆらゆらと膝を揺らしてやれば、沖田の方から俺の腕にすがりついてくる。
「ひ、卑怯ですよっ」
久し振りに見るその慌てた顔に漸く胸がすっとして、頬が緩んだ。
「やーっとこっち向いた」
下でのあれは兎も角、まともに俺を真っ直ぐ見たのは久々だ。
ニッと唇を上げて沖田の腰に手を回す。僅かに跳ねたそいつは胸を押して微かな抵抗を見せるがもう遅い。
間近で覗き込むように視線を合わせると、沖田は焦った様子で横へと目を泳がせた。
「べ、別に……」
「何でもあらへんのやったらこっち見ぃや」