……何なんですか私。山崎とか有り得ないでしょう一番駄目です趣味悪過ぎですよ私……っ!


思わず頭を抱えた。


脳裏に浮かぶのはあの憎たらしい笑みだ。


出会いは最悪。
無遠慮で意地悪でやらしくて助兵衛で変態で、……時に優しいあの男。


今でも殴りたい衝動に駆られるというのに、何故か頬まで熱くなる。


大嫌いなのに、いなきゃ淋しい。


いつからか気がつけば土方さんよりあいつのことを考えてた。


違う違うと否定しても、あいつに触れられる度にそこがじわりと熱を持つ。


離れた瞬間の淋しさがちくりと胸に刺さるのだ。





「有り得……ません」



此処で生きる以上、誰かを好きになるなんてもうないと思ってた。


それだけでも有り得ないのによりによってあいつとか。自分自身の事だというのに全く以て理解に苦しむ。


なのに考えれば考える程、変に意識してしまって泥沼に嵌まる。


胸が早鐘を打ち、体が熱を帯びる。


そんな感情を知らない訳じゃないから、結局、そうなのだと自覚してしまうのだ。



「……はぁ」


自嘲染みた息を吐き、再びごろりと仰向けになる。


薄暗い天井に並んだ人の顔のような節が、いつもの顔でじっと私を見下ろしていた。



……気にしちゃ、駄目です。