翌日。

 まだ眠気の取れない頭で昨日の事をぼんやりと思い返しながら、俺は放置されたままの発砲スチロールを覗き込んだ。

 夢だった、なんてあるわけないか……

 違和感を感じたのはその直後。

 昨日とは少し置かれた位置が変わっていた。

 紙を抜き取る時に少しだけ位置がずれたものの、そこまで大きく動いたわけでもなかったのに、そいつは一目で分かるぐらい体の向きを変えていた。

 おかしいな……

 俺が動かしたはずはない。

 だとしたら、こいつが勝手に動き出したのか。

 本当に生きているのか?

 何とも言えない気味の悪さが襲う。

 勘弁してくれよ。

 せめてペット代わりにでもしろと言うなら、もう少し可愛げのあるものにして欲しかった。

 人の形に似ているだけでも気味が悪いのに、改めて見てみれば表面の色は人の肌そのものだった。

 均一ではなく、色の濃さにリアルなムラがある。

 もう少し人の要素を含んでいたら、本当に小さな人間と思ってしまうかも知れない。

 それぐらいにリアルな質感だった。