だって…千尋くんに無視なんてされたら、傷つく。

心ズタボロ。耐えられるわけないもん。

…だから、喜んで呼ばせていただきます。


「…――ちひろ、」

『もう一回。』

「っ、千尋…ッ!」

『ごーかく。』


ふわりと千尋くんの匂いが鼻を霞めたと思ったら、千尋くんの厚い胸板に身体を預けていた。

何度抱きしめられても慣れることはない千尋くんの腕の中。

でも…私の大好きな空間だ。


『これからは呼び捨てじゃないと返事しないからな。』

「うん、」

『あと…、やっぱり雛乃の博多弁聞きたい。』

「ッ!?」

『なんかこう――クる。』


クるって、一体…何がクるんでしょうか!?千尋さん!

今度は私の博多弁を急かし始める今日の千尋は、とても甘えん坊さんだ。