――最悪だ。


行く当てもなく走り出した私が辿り着いたのは、クリスマスの夜に千尋くんと来た公園のベンチだった。

日も沈み始めて夕方だからか、公園には人っ子一人もいない。

ベンチにヘナヘナと座った私は、自己嫌悪に陥る。


私…ビンタしちゃった。

感情のままに…和樹叩いちゃった。

何やってんだろ、私…。

少しは、成長してると思ってた。島津さんとの一悶着があった時、私は少し成長できたんだと思ってたのに、それは違ったみたい。

和樹の言い分を聞くことだってできたのに。自分の感情を押さえ込むこともできずに、ドロドロと垂れ流して。

何も変わってない、3年前と。


「はぁ…。」


和樹だって、わざわざ謝りに来てくれたのに。

福岡からわざわざ東京まで出てきてくれたのに。東京になんて一度も行ったことないって言ってたあの和樹が。

それなのに…私、酷いことしちゃった…。


『――雛乃!』

「っ!?」


ため息をこぼしていると、私を呼ぶ愛しい人の声が耳に届いた。