DVD一本目のエンドロールが流れたころ、私は心身共に疲れ切っていた。

DVD観るだけでこんなに疲れるなんて知らなかった…。と、長く続いた生き地獄が終わることに安堵する。

肩に乗った千尋くんが呼吸するたびに、千尋くんの息が私の首筋を通っていくものだから身体はくすぐったくて、ビクッとしちゃって。


「千尋くん、終わっ――…?」


エンドロールも終わって真っ暗になったテレビ画面。

終わったのに私から離れようとしない千尋くんを不審に思って首を横にひねって顔だけを千尋くんに向けると、千尋くんはビクともせずに私に寄りかかっている。

お、重い…。もしかして、千尋くん――寝てるの…?

相変わらずの夜行性っぷりに笑いが出る。

自分の部屋だし、雨に濡れちゃったし、元々この時間帯は学校で寝てるし…、もう少し寝させようかな。疲れてるんだよね、と思って、私は身をよじって千尋くんの重たい身体をなんとか支えつつも、千尋くんの背後にあるベッドに千尋くんを寄りかかるようにする。

身体を少し動かしても寝ている千尋くんから離れた私は、DVDをテレビのデッキから取り出して元の位置にしまった。


『ん…、雛乃…?』

「っ、あ…千尋くん、起きた?」