お昼過ぎ、なんでもない話を千尋くんと和やかにしていると、DVDを観ようということになった。

ダンクシュートが原作のアニメ。

千尋くんはダンクシュートの大ファンらしく、漫画を全巻集めるだけじゃなく、アニメの録画もしてるんだって。


『――雛乃、』


部屋にある小さな液晶テレビの電源を付けて、DVDをセットし終えた千尋くんは、私の隣に腰を下ろすと同時に私を呼んだ。

アニメのオープニングが始まったテレビの画面から千尋くんに目を向けると、千尋くんににこやかに手招きされた。


「どうしたの?」

『いいから、いいから。』


導かれたように千尋くんの方に身体を寄せると、腰を掴まれて千尋くんの目の前に私の身体が移動させられる。

何が何だか分からない私の肩に千尋くんの腕が回されて、背中に感じる千尋くんの体温。

後ろから抱きしめられてる……っ


「あの、千尋く――っ」

『ほら、始まったよ?ちゃんと観なきゃ。』

「……っ」


囁くように私の耳に寄せた千尋くんの唇から発せられる低くて諭すような声に、胸がドキリと高鳴った。