「千尋くんは…それでいいの…っ?」


そんなこと言われたら、私…安心しちゃうよ?

千尋くんに我慢をいっぱいいっぱいさせちゃうかもしれないよ?


『いいよ。その分…雛乃に癒してもらうから。』

「――っ…!」


千尋くんへ顔を向けた瞬間に奪われた唇。

後頭部と腰に回された大きな手が、逃げようとする私を捕まえて離さない。


『あーでも…、すぐに歯止め利かなくなりそーかも…。』

「っ…!?」

『俺が狼になる前に、心の準備しといて。』

「千尋く――っ!!」


結局、待ってくれるのか待ってくれないのか。

よく分かんないけど、千尋くんの熱い唇に溶かされた私はまともな思考回路を保てない。

千尋くんなら――…なんて、心の片隅でちょっぴり思った私だった。