「っ……ちっ、千尋くんッ…!?」
『んー?』
いきなり千尋くんに抱きしめられて、私は顔を真っ赤にせずにはいられない。
きっと今の私は、耳まで真っ赤なことだろう。
いきなりこんな…っ
雨に打たれたはずの千尋くんの身体は決して冷たくなんかなくて、むしろ燃えるように熱い。
千尋くんの熱が、私に移ってしまいそう――。
「寒いって…っ」
『うん。…だから、雛乃が温めて?』
「ッ!?」
ギュッと隙間なくくっついていた私と千尋くんの距離が少し開いたと思ったら、上から降ってきた千尋くんの唇に襲われた。
これは…っ、これは――!
「んん…っっ」
心の整理が全くできていない私をふっと笑った千尋くんは、触れただけの唇で腰を抜かせた私に深い口づけを落とす。
すぐに絡まった舌と舌。
バレンタイン以来の濃密なキスに全身の力が抜けていくのを止められなかった。