可愛らしいピンクのシャーペンと苺柄の消しゴムを使いこなす千尋くんは違和感ありありで笑いが零れてしまう。

私のシャーペンを握って顎に手を当てて考える姿なんか、写真に取っておきたいくらいレアで可愛い。


『…笑ってないで雛乃も考えてよ。』

「ふふっ…うん。」


それに気づいた千尋くんから拗ねながらも、私は学級日誌の白紙を埋めるのを手伝った。

学級日誌を書き終えたころ、日直の日くらい授業起きておこう、と言う千尋くんに、授業は寝るものじゃないんだよと教えてあげる。


「千尋くんは飲み込み早いから、授業起きてたら絶対に成績上がるのに。」

『…無理。眠気には勝てないの。』

「ふふっ」


千尋くんって夜行性タイプなんだなー、と思いながら帰る支度を始める。


「先に職員室行かないの?」

『いや、教室の戸締りして行ったほうが早いから。』

「そっか。」


千尋くんの荷支度が終えるのを待って、私は学級日誌を持った千尋くんと一緒に教室を出たのだった。