『ん……っ、』
やっとのことで戻ってきたお守りを、今度は絶対に失くさないように自分の家の鍵のキーホルダーに結び付けていると、雛乃が背後で寝返りを打った。
「ち、ひろく…っ?」
『ん?どうした?』
ちょっと物音を立てすぎたかもしれないと、眠気眼の雛乃のもとに近寄った。
俺が傍にいると安心したのか、俺の手首を弱い力で掴む雛乃。
『…だめ、行っちゃやだ…。』
「っ――!」
俺がカバンをゴソゴソしていたのを見て、俺が帰ると思ったのか、熱のこもった小さな手を俺の手に絡ませる。
ヤバい…可愛すぎるだろ、これ…っ!
本人は熱に浮かされて意識がないだけに、俺の理性が必死に襲ってしまいたくなる衝動を抑える。
「どこも行かないから。」
『ん…っ、』
ふと時計を見ると、正午を過ぎている。
ちょうど雛乃も起きたみたいだし、昼食にするか…?
「雛乃、ご飯食べる…?」
『あ…、うん…っ』
まだキツそうなのに、顔を歪ませながら体を起こす雛乃をまだ寝ているようにと布団に寝かせると、ダイニングにおかゆがあるから取ってきてほしいと頼まれた。
わかった、と言って、名残惜しくも握っていた雛乃の手を離して、部屋を出た。