本人には言えない気持ち.
報われない片思い。
苛立ちと焦りと、悲しみと、憎しみと、…いろんな感情を抑えきれなかったんだと思う。島津さんは。
だから…なんとか私と千尋くんの仲を引き裂こうと必死になったんだ。
私が千尋くんから身を引けば、次は自分が千尋くんの隣にいけると、その願いを叶えたくて。
「もういいの。」
『いいって…。』
「千尋くんがこうして傍にいてくれて、それだけで私は幸せだから。」
泣きはらした顔で無理矢理に笑顔を作る。
そう…私は大丈夫。
千尋くんが言ってくれた"好き"の言葉を信じるよ。
「だから…、千尋くんは島津さんに何もしないで…?」
『ッ――!』
「今までどおり、島津さんと普通に接してあげて、ね?」
きっと千尋くんに拒否されてしまったら、彼女は相当なダメージを受けると思うから。
千尋くんに自分が受け入れられないと察してしまったら、彼女はきっと立ち直れない。
私も千尋くんのことが好きだから…、島津さんの想いがよく分かるんだ。