「――でも、お守り…っ、島津さんにあげたんでしょう…?」

『そのことは…ゴメン。』

「っ」


ほら、やっぱり。

島津さんの言った通り、こんなものいらなかったんだ。

島津さんに言われた時よりも、千尋くんに言われた時の方が、心がジクジクと踏み潰されるみたいに悲鳴を上げた。


『本当に失くしてたんだ。多分…、島津に盗られたんだと思う…。』

「え…っ?」

『雛乃からもらったってこと、島津に言ったんだ。だから…多分。ごめん…。』


私に頭を下げる千尋くんは弱弱しく見えて。

何の確証なんてない。千尋くんの言うことが本当かどうかなんてわからない。


『これからは絶対、失くさないようにするから。…そのお守り、俺に頂戴?』

「っ…!」


お守りを握りしめている私の手を千尋くんの大きな手が重なった。

いらないんじゃないの?島津さんにあげたんじゃないの?

理性的な私がそう言うけれど、本能がそれを遮断していく。

たとえこれがウソだとしても…私は千尋くんを信じたい――。