『これ…、』

「っ、ダメ――!」

『っ!?』


簡易テーブルに向いていた千尋くんがその上に載っていた青いお守りに気付いた。

そのお守りに手を伸ばそうとした千尋くんの腕を引っ張った。

残っていないと思っていた力でぐんっと千尋くんの腕を引き寄せて、私は簡易テーブルに手を伸ばしてお守りを掴んだ。


『雛乃…?』

「ごめんなさい…っ!」


お守りを握りしめた手を胸に当てて、こぼれそうになった涙を見られないように、顔を俯かせた。

私…自惚れてた。

私と千尋くんの気持ちは一緒だって。

こんなお守り…千尋くんには必要なかったのに。いらなかったものをあげた私が悪いんだ。


「もう…千尋くんには近づかないから…っ、もうこんな迷惑なことしないから…!」

『ッ――』


目頭がどんどん熱くなっていく。

こらえきれなかった涙は、ポタポタとお守りを握っている手の甲に水たまりを作る。

最近の私は、泣いてばっかりだ――。