『あのお守りのこと、雛乃は誤解してるわよ。』

「えっ…?」

『雛乃は、アンタに捨てられたって思ってる。』


っ――!?

柴戸の冷たい声に、俺は息が止まりそうだった。

何で、俺が捨てるなんて…、雛乃からもらった大切なものを俺が捨てるなんて、有り得ないのに――っ、


『その様子じゃ、島津が雛乃に何をしたのかも知らないみたいね。ま…、当然か。』

「は…?島津が?…アイツ、雛乃に何かしたのか!?」

『ちょっ、痛い!離せ、バカ!』


我を忘れて柴戸の肩をつかむと、顔を思いっきりしかめた柴戸に叱られた。

あ、ゴメン…、と柴戸に手を振り払われてようやく我に返った。


『あのお守り、島津が持ってたのよ。』

「は?」

『雛乃から聞いた話だと、島津はあのお守りのこと、アンタがいらないって言って島津にあげたって話してたって。ずいぶん酷いことも言われたみたいだけど、なんて言われたかまでは言ってくれなかった。島津から返してもらおうとしたら、島津に中庭にお守りを捨てられちゃって、昨日はずっとそれを探してたってさ。』

「ッ……!」


柴戸から聞かされた話は、現実なのかと思うくらい衝撃的で。

まるで、後頭部をゴツい岩で殴られたような感覚を覚えた。