『どういうこと?ちゃんと説明して。』

「いや…、図書室で原稿書いてたら、トイレに行ってた島津が俺の鞄下げて帰ってきて。わけを聞いたら、図書室に戻る途中で雛乃に会って、先に帰るから渡しておいてくれって雛乃から俺の鞄渡されて、雛乃は帰ったって…島津に言われた。」


だから、俺はてっきり雛乃は怒って帰ったんだって思ったんだ。

すぐ戻ると言ったくせに、作業が長引いて教室に戻れなかったから、俺に愛想を尽かせて帰ったんだって。

だから、謝ろうと思って、帰ってからすぐに雛乃に電話したんだけど…、電話越しの雛乃は怒ってないって言ったから、もうこのことは終わったことだと思ったんだけど…。

もしかして雛乃…じつは怒ってたのか?


『そうゆうこと…。じゃ、あのお守りは?』

「あれはっ…俺が悪いんだ。」


お守りの件は、確実に俺が悪い。

彼女からもらったものを失くすなんて…彼氏として有るまじき行為だよな…。

お守りのことを思い出すだけで、俺はなんて阿保だったのかと思わされる。


「失くしちゃったんだよ。昨日、それに気づいて思い当たるところ片っ端から探してたんだけど見つからなくて…、そしたら泥だらけの雛乃がなぜか持ってるし。返してもらおうとしても、返してくれなかったし…。俺…、もうどうしたらいいか…。」


はぁー、とため息しかつけない自分に腹が立つ。

きっと俺と雛乃には何か誤解があるのはなんとなく感じてるんだけど、何が誤解なのかが全く分からないから何もできない。