『…そのこと、雛乃にちゃんと言いなさいよ?』
「あのさ…、さっきから俺、全然訳が分からないんだけど。だいたい、雛乃は何で俺を避けるんだよ?」
『は?…きっかけはアンタでしょうが。』
――は?
何言ってんの?とでも言うように俺を睨む柴戸に対して、俺も目が点になる。
何で…きっかけが俺になんの?俺…雛乃に何かしたか?
思い当たるのは、雛乃からもらったお守りを失くしたことだけ。でも、失くした時には俺は雛乃に避けられてた。
『アンタ、図書委員の仕事で長引くからって、雛乃帰らせたんでしょ?』
「え?は?…ちょっと待てよ、何だよそれ?」
身に覚えもないことを事実のように語る柴戸の口を一旦遮る。
図書委員の仕事って…、あれだよな?図書のたよりの原稿書きのこと。
でも…あの時、俺は雛乃に待っててとは行ったけど、帰れなんて一言も言ってない――。
「あの時は、雛乃が先に帰ったんじゃないのか?」
『は?』
「あの時は作業が長引いてたから、雛乃は先に帰ったって島津から聞いたんだけど?」
お互い、訳が分からないというように首を傾げた。
いったい…何がどうなってんだ?