『…あんた、何してんの!?』
「…はい?」
屋上に続く階段の踊り場。
人のあまり来ない場所に連れてこられた瞬間、俺に振り返った柴戸に突然檄を飛ばされた。
『雛乃のことよ!どうなってんのって聞いてんの!』
「え、あ…。」
雛乃の名前を出されただけで、俺の心はチクリと痛みを増した。
そういえば、さっき教室で雛乃を見かけなかったな…、まだ来てないのか?珍しい…。と頭の片隅で思った。
「どうって…俺も何が何だかよく分かんねーんだよ。いきなり雛乃は俺を避けるし、昨日も…。」
昨日、中庭で泥だらけになった雛乃がなぜか握りしめていた、俺が失くしてしまったと思っていたお守り。
雛乃が俺から去って行ったあと、ずっとなぜ雛乃がアレを持っていたのか考えたけど、全然分からなかった。
『はぁ…。ねぇ、隣のクラスの島津 彩とはどんな関係?』
「え?島津?」
今まで雛乃の話をしていたはずなのに、突然話題が島津へと飛ぶ。
何で島津?
柴戸は雛乃のことで怒ってんじゃねーのか…?
「島津は…中学から一緒なだけだけど…。」