「心配かけて、ごめんなさい。」
久松くんに教室に入ってもらって、今まで私を探してくれていたという2人に頭を下げた。
電話もしてもらってたのに全然気づかなかった。
ジャージのポケットには、泥だらけになってしまった青いお守りが入っている。
『謝らなくていいから。っていうか…高遠は?会った?雛乃がいないって言ったら教室飛び出していったんだけど…、』
「あ…うん、会ったよ…。」
そうなんだ…。
華ちゃんに教えてもらって初めて、さっき中庭に千尋くんがいたのは私を探してくれてたんだということを知る。
わざわざ探してくれてたのに、私…千尋くんを置いて来ちゃった…。
中庭で突き放してしまった千尋くんを想って、心がズキズキと傷んだ。
『…そっか。』
「私…っ、千尋くんに嫌われてたみたい…っ」
『は?何で?』
お守りが見つかったという安堵感が生まれたと思ったら、昼休みに島津さんに言われたことが頭の中で大音量で鳴り響いた。
島津さんの顔を思い出して顔を歪ませていると、今まで何も言わなかった久松くんが声を上げた。