人のいない廊下を駆け抜けて、たどり着いた教室。

もう放課後なんだ、そう思いながら教室のドアを開けると…、


『雛乃ッ!?』

「っ、華ちゃん…。」


教室には、華ちゃんと久松くんが私の席の近くに座っていた。

どうして2人が――?

驚いて目をパチクリさせていると、2人が私に駆け寄ってきた。


『今までどこにいたの!?何で濡れてんのよっ!?泥もついてるし…ッ』

「あ……、」


2人がこんなにも驚いているのは私がずぶ濡れだからか。

妙に納得して、汚れちゃうから私には触らないでね、というと、華ちゃんにそんなことじゃないでしょ!?と怒られてしまった。

華ちゃんの後ろにいる久松くんはただただ驚いて、力なく笑って見せる私を見つめるだけだった。


「とりあえず…着替えてもいい?」


今日が体育の日でよかった。

体育ジャージに着替えるために久松くんには教室をいったん出てもらって、手を洗った私は心配する華ちゃんに事情を話しながらジャージに着替えた。