タイミングの良すぎる電話に、初めてのことも相まって、私は誰もいない部屋をキョロキョロと見渡す。
う…、出ないと切れちゃう…っ!
そう思った瞬間、通知ボタンを押した。
「もっ、もしもし…!」
『あ、雛乃?』
「っ……!!」
電話越しに聞こえる優しくて穏やかな低い声に、私の心は一瞬でときめく。
高遠くんの声を聞くだけで、さっきまで抱えてた漠然とした不安も吹っ飛んだ。
『もしもし?おーいっ』
「えっ、あ…ひっ、雛乃です!」
『プッ…ククッ、知ってるよ。』
「あ、う…///」
電話の向こうから聞こえる高遠くんの笑い声。
距離は遠いはずなのに、私の元に届く高遠くんの声はいつもより近く感じた。