高遠くんは、ずっと私だけを見てくれる――?
『雛乃ー?大丈夫?もうお風呂入って1時間は経つけどー!』
「えっ、ウソ…ッ!?」
ずっとバスタブの中で考え込んでいたら、1時間も経っていたらしく、心配になったらしいお母さんがお風呂のドア越しに声を掛ける。
『…倒れてるわけじゃないとね?』
「うんっ、大丈夫!」
『のぼせたらいかんけん、早く出てきー?』
「ん、分かったー!」
私の安否を確認して安心したのか、お風呂のドア前にかかっていたお母さんの影が消えた。
ふー…っ、そろそろ出なきゃ。本当にのぼせちゃう。
ザバッとバスタブから身体を出して、シャワーを少し浴びた私は、浴室を後にした。