「私で、いいの…っ?」
『雛乃がいいんだ。』
「っ……」
今、私の名前…っ!!
好きな人に名前を呼ばれた、ただそれだけなのに、黒く染まっていた私の心は一瞬で晴れていく。
好きな人と結ばれたことが、こんなにも幸せに感じるなんて、今まで知らなかった。
「わっ、私も…っ、高遠くんのことが…すっ、すす…っ」
『?』
自分の気持ちを伝えてくれた高遠くんに、私も自分の思いを伝えたい。
"好き"の2文字を口で紡ぐのが、こんなにも難しいなんて。
でも、伝えなくちゃ。この想いを。
「大好き…っ!!」
『っ…!』
勇気を振り絞って出た言葉は、思ってたのよりちょっと違うけど。
これも本心なんだからしょうがない。
好きな人に包まれるこの幸せを全身で噛みしめながら、私は彼の背中に腕を回した。