『…俺、小日向にそういう風に見られてないと思ってた。』
「……っ」
私を閉じ込めていた長い腕が私から離れたと思ったら、目の前で高遠くんが屈んで目線の高さが同じになる。
高遠くんの澄み切った綺麗な瞳に、目を逸らすこともできない。
息をするのも、忘れそうだった。
『――好きだよ。』
「っ、」
絡まる視線。
私の頬に触れた高遠くんの大きな手の指先は、私の瞳から溢れた雫をゆっくりと拭ってくれる。
教室は広いはずなのに、私の目の前にある空間は私と高遠くんだけの狭い世界のように見えた。
『俺と付き合って。』
「っ、高遠く――っ」
『大事にするから。俺の、彼女になってよ。』
重なった気持ち。
伝わる鼓動。
私だって、高遠くんにそういう風に見られてるとは思ってなかった。