「…ダメなん?高遠くんと仲良さげに話してる島津さんにヤキモチ焼いちゃいかんと?」
もうここまで来たら全部言うしかない。
当たって砕けろってよく言うけど、もう砕けちゃってるんだからその破片で当てたって意味はない。
無意識に出ちゃってる博多弁なんて、気にする余裕も直すという考えも持ってなかった。
『嬉しい。』
「……え?」
てっきり突き放されると思っていたから、より強くなった私を抱きしめる高遠くんの腕の力に、私は戸惑った。
何で…私抱きしめられてるの?
『島津なら、もう帰ったよ。』
「え…っ?」
固まる私に、高遠くんの柔らかな声が響いて、目を見開いて高遠くんを見上げる。
私を見下ろす高遠くんは、今まで見たこともないほど穏やかで優しい笑みを浮かべてて、不覚にもドキンと胸が高鳴ってしまった。
でも、さっき一緒に帰ろうって言われて――…っ、
『小日向と一緒に帰りたいと思ったから、島津の誘いは断ったんだ。』
「っ……!!」
ウソ…と、信じられない気持ちでいっぱいになる。
そんな、高遠くんが島津さんの誘いを断るなんて、思ってもみなかった。