確かこの子…隣のクラスの島津さん。

華ちゃんと可愛いよねって話してたから、よく覚えてる。

2人……仲良いんだ?


『おー、島津。…どうした?』

『教室に忘れ物しちゃってさー!ホント最悪ーっ』


私など2人の親密な世界には存在していないかのように微笑みあっている。

背も高くてスタイルもよくて、顔も可愛い島津さんと高遠くんはどこからどう見ても美男美女のお似合いカップル。

180センチもある高遠くんの隣が似合うのは、きっと島津さんみたいな170センチはあるようなモデル体型の綺麗な人。

145センチしかなくて、目を凝らさないと分からないような、ちんちくりんな私じゃ、高遠くんの隣は似合わない。釣り合うはずもない。

……何で今まで気付かなかったんだろう。


雰囲気の良い2人をそのまま傍観する気にもなれなくて、半分も消されていない黒板に向きなおる。

誰にでも分かるような簡単なこと。

ちょっと冷静に考えれば、小学生だって理解できるようなことだったのに。

高遠くんに恋をして浮かれまくっていた私には、今の今まで、この現実を目の前に叩きつけられるまで、全く気付かなかった。

なんてバカな私。身の程も知らないアホな私。


『高遠も帰るでしょ?一緒に帰ろッ』


背伸びをして黒板の上方を消している私に、島津さんの高くて可愛らしい声がストレートに耳に届いた。