「俺には俺のペースがあるんだよ。」

『ふーん…?』


目の前から降り注ぐ久松の意味ありげな視線を無視しつつ、ふーっと息を吐いた。


告白か…。

考えてもみなかったが、告白まがいのことはもうすでにしてしまっている気がする。

…っつーか、クラスマッチの時に"好き"って言っちまったしな。

その時の顔をユデダコのように真っ赤にさせて、ありがとっ、と言った小日向を思い出して微笑む。


最近、俺の言動とか仕草にウブな反応を見せてくれる小日向が可愛くて可愛くて仕方ない俺は、今朝も校門前で可愛いと口走ったばかり。

彼女の前では歯止めも理性も聞きそうにない。

それほど小日向に惚れ込んでるってことなんだろうけど。


俺に遅れて昼飯を食べ終わった久松に、また金曜日のことを根掘り葉掘り問われながら、俺は教室に戻った。