『離れられる前に、しっかり手握っとけよ。』

「……なんだよ、久松らしくねーな。」


意味深な言葉を、溜め息とともに吐きだした久松を、眉間に皺を寄せて見つめる。

そこには、今まで見たこともなく難しい顔をした久松がいた。


『……素直じゃないのも可愛いけどさ、それが長く続くと苛立ちに変わるんだよ。』

「……は?」

『まぁ、こっちの話。』


いつになく話を濁す久松に、俺は不満を隠せないままにご飯の最後の一口を口に入れた。

なんだよ、それ。自分で振ってきたクセに。

空になった弁当箱を片付けて、風呂敷に包んでいると、また久松が口を開いた。


『考えてみれば?』

「…何が?」

『告白。』

「……またその話に戻るのかよ。」


意外としつこい久松に、最早俺は呆れて苦笑いしかできない。

どんだけ俺の恋路に茶々入れる気だよ。