今は授業の真っ只中。


私の前に座る
たくましい背中を見つめていた。

それにしても
なんでひろとは私の偽笑顔に
ついて何も触れてこないのだろう。

普通は気になるよね…

それはひろとの優しさなのだろうか。

いつも無表情でなんの
感情もないような私と帰るのは
嫌ではないのだろうか。

疑問ばかりが頭を駆け巡る。


って私何ひろとのことばっか
考えてんの?!


やめたやめた。
そんなとき


「えみ?ここ教えてくんない?」

前を向いていたひろとが
くるっと後ろに振り返った。

びっびっくりしたぁ。

「えっ。あぁ、ここは…」
自分で言うのもあれだけど
私は結構頭がいい方だと思う。

だからひろとはよく
私にわからないところを聞いてくる。

「えみすげー!さんきゅうな。」
ひろとはいつもの眩しい笑顔を
私に向けた。

ドキッ。

ん?なんだこれは…

前は腹さえ立っていた笑顔も
今は逆に嬉しくなってしまう。


いつからだろうか…
ひろとの存在を
受け入れてしまったのは。