笑顔をくれたのは君でした



「るり見て見て!
これってデート!?」

すごい勢いで私はメールを見せた。

「やったじゃん!これ
デートだよ!紛れもなくデート!!」


きゃあきゃあと騒ぐるりをみて
なんだか楽しくなってきた。



楽しみすぎてにやけてくる。


「お互い楽しもうね!」


2人できゃっきゃっと騒ぎながら
教室に戻った。




ちょうど朝のHRが始まるところで
私達は席についた。

隣のるりはまだニヤニヤしていて
なんだか不気味…


とか言いつつ私もなんだけど。


トントン。
前に座るひろとをつつく。

「ん?」

「楽しみにしてる!」

それだけ言うと
ひろとはあぁと微笑み前を向いた。





それから今日も
4人で帰ることになり
楽しく並んで歩いていた。


4人でいるのは楽しくて幸せだった。


高野君にはなんだか
無理矢理笑顔を作ることも
なかったりする。


そういう風に変えてくれたのは
紛れもなくひろとだ。





ピピピピッ。

ん〜。大きな目覚ましの音で
目を覚ました私。


今日はこれから
ひろととの初デート。


確か10時に迎えに来るって
言ってたから急いで用意しよ。


私は大きめの花柄のスカートに
シンプルなTシャツ、その上に
カーディガンを羽織った。


いつもの薄メイクを
今日は少しだけ濃くしてみた。



普段はストレートの茶髪の
髪の毛を少しだけ
緩く巻いてみたりした。



よし!準備おっけい!





ピンポーン。


あっきたきた!


「はーい。」

ガチャっとドアを開けると
それはなんとまぁ、
かっこいいひろとさんが立ってました。


「お待た…せ…」

なぜか言葉を詰まらせるひろと。


「どうしたの?」

気になった私は固まっている
ひろとに尋ねてみた。





「いや。てか、お前…可愛すぎ…」

今…可愛いって言ったよね!?
うそうそうそ!!


にやけが止まらないよ。


「あ、ありがとう。」

照れながらお礼を言うと

「行くぞ。」

と言って私の手を引っ張るひろと。
顔が少し赤くなっているひろとは
なんだか少し新鮮。


可愛い…





「ねぇどこいくの〜?」

行き先を知らなかった私は
ひろとに聞いた。

「内緒。」

そう言って私の手を
引っ張っていくので気にしつつも
おとなしくひろとに
ついていくことにした。


いくつか電車に乗って辿り着いた場所は


「わぁ!すごーい!!」

とても綺麗な海だった。

「えみをここに連れて来たかったんだ。
ここ俺のお気に入りの場所だから。」


「本当に綺麗だね。
連れて来てくれてありがとう!」




私は海を眺めた。

本当に綺麗な海で癒される。
今は夏前だというのにそこには
誰もいなくて私達2人だけだった。


「お前こういうとこ好きだろ?」


なんでわかっちゃうんだろう。
ひろとは私のことなんでも
わかっちゃうんだね。



私はてっきりひろとのことだから
ショッピングとか遊園地とか
そういう所に連れて行ってくれるんだと
思い込んでいた。


2人で行くんだから
そりゃ、どこでも嬉しいんだけど

正直、私は人混みが苦手だし
あんまり騒がしい所は得意じゃ
ないんだよね…


だからひろとが
ここに連れて来てくれた時
すごく安心した。