「あなたは、…って言うのもあれですね…お名前を伺ってもよろしいですか? 僕は播磨 澄(はりますみ)です」

「私は冲田りいです」

可愛い名前だ。彼はそう言い嬉しそうに微笑んだ

その後も他愛のない会話を続けていた

好きな芸能人や食べ物に色や音楽 色んなことを聞かれ話した。こんなに男性と話したのも初めてかもしれない。

そう思いながら 彼、播磨さんと話し込んでいるといつしか空は雲を引き連れ 晴れを見せていた

「……晴れましたね」

「どうしたんですか?」

私が首を傾げると 播磨さんが 声色がすごく寂しいものだったから、なんて言うから 見ないふりをしていた感情がにょきにょきと生えてきた

「いえ、つい播磨さんとのお話が楽しかったものですから」

素直な感想を述べると 播磨さんは嬉しそうに笑い

「僕も楽しいひと時でした。雨の日でもいいことはあるものですね」

それなら良かった、と頭で思い家路につくべく さようならをいいその場を後にした




あれから数日 晴れが続いている
行きつけの本屋のおじさんから 新しい本が届いたと情報が届いたのでこれから向かうべく私は少し足早に教室を後にした


「おじさんこんにちは」

探してごらん、と おじさんは私のする事を分かっているので笑顔で解釈をしてくれるだけ

広いとも言えないが狭いとも言えない、なんとも言えないこの本屋は嫌いではなかった。

本を眺め いつもと違う場所を探した


それから数分、

「おじさん!これ?」

少し古くも感じるその本をおじさんに差し出す

「よく分かったね」

おじさんが私の手から本を取ると少し付いたホコリを払い 買うかい?と一言

「うん、なんだか凄く気になるの お願いします」

おじさんが 手際よく本を会計してくれ、お金を払い本を持ちお礼を言い外へ出た

と思ったのだが誰かにぶつかってしまった

「すいません、大丈夫で…あれ?りいさん」

いてて、と鼻をこすっていると 久方振りに見る播磨さんだった

「私こそすいません。…今から見られるんですか?」

「えぇ、頼んでいた本が届いたらしく…もうお帰りに?」

「はい、この本がすごく読みたくて」

先程買ったばかりの本を少しかざすと 待っててください と彼がいい中に入っていった。

待って、…とはどんな意味なのだろう?そう考えながら外で待っていると彼は出てきて

「このあと、用事あります?」

「…いえ、ありません」

この後の用事を思い出しながら伝えると彼は、行きましょうと 私の手を引き歩き始めた

「あっ、あの…!?」

「ぁ…すいません。…またあなたと会えたので話したいと思ったのですが…」

眉を下げ私を見つめてきたので 少し驚いただけですよ、と告げると子犬のように嬉しそうに笑っていた


彼の後についてやってきたのは おしゃれなカフェだった

「いつもの席で」

あぁ、はい。と店員に案内してもらいながら 常連さんかな なんて思い席に着いた