あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─のレビュー一覧
あの夏、彼等は罪を穴に埋めた。 五年後、埋めたはずの罪は暴かれる。 隠しきれるはずがなかった。 彼らの罪は五年後の夏、悪夢として蘇る―――。 この物語に出てくる主人公達はあとひとつ、あと一歩、気持ちが足らなかった。 出せなかった勇気。 それが悲劇の連鎖を生むことになる。 その連鎖の先に待つものは一体……。 是非、主人公達の埋めた罪を覗いてみて下さい。 最後まで目が放せません。 ラストまでを彼等を見守る勇気を、ぜひ。 とてもオススメです。
決して許されることのない罪を犯してしまった、あの夏。 5人の罪深い者達に、今、罰が下る── 運命の歯車を狂わせてしまったもの、それは “愛されたい” ただそれだけの、純粋な気持ち。 残酷な物語の奥には、愛するが故に歪んでしまった悲しい想いが潜んでいました。 あの時違う選択をしていれば、未来は変わっていたのかもしれない…… そんな一味違った“勇気”に触れることができる作品です。 そして、衝撃のラスト! 彼らの最後が残酷なものになるか、救われるかはあなた次第。 あなたの勇気が結末を変えます。 その斬新さにはため息が出るほどでした。とにかく素晴らしい作品です! この読後感、ぜひ味わってみてください!
何がきっかけだったのか。思春期の彼らの歯車は徐々に徐々に噛み合わなくなっていて、小さな痛みが小さな嫉妬が大きな悪意へと変わり大きな罪を犯させた。 弱さ強さ、愛情憎悪、傲慢懺悔、罪罰。 乱れる感情、うごめく痛み。どうしようもない衝動。 逃げたくて逃げたくてしょうがなくて。もしもあんなことをしなければ、もしも無かったことに出来るならば。何度も何度もそう思いながら目を背けていた。 だけどピッタリと寄り添って来る過去と罪。決して離れない、決して逃げられない。重くて重くて背負いきれなくても尚、ついて来る。 背負うのが贖罪なのか、代償を払い償うことが贖罪なのか。答えはきっと自分自身の中にしかない。 過去を振り返るのは誰だって怖い。それが暗い暗い罪なら尚更。 だからこそ本当の勇気が此処にあったのかもしれない。だからこそ私は、決断された勇気に救われた。
まずこの作品は素晴らしい。 が、その事は他の方々が感想ノートやレビューで書き尽くしているのでここでは触れない。 私がこの作品で特に讃えたいのは文章と構成である。 私を含め作文能力がまだ拙い方が多いこのサイトにおいて本作はこれらが群を抜いている。 正に初心者や伸び悩む者が読んで模倣すべき教本的作品だと思える。 ケータイ小説の書き方が知りたければ本作品を読むといい。
どこで踏み外してしまったのか。 どこで見失ってしまったのか。 あの森に埋めてきた、 もう戻れない夏を――。 もう戻れない俺達を――。 そして………。 友情の裏に隠された悲劇と秘密。 あの夏、彼等が犯した罪とは――。 純粋だから残酷で。 残酷だから純粋で。 涙が溢れました。 深い森の奥にいる気分、衝撃の展開をぜひ味わってみてください。
今作は携帯小説では類を見ない、残酷がある作品。けど、その背景を辿っていけば恐怖だけではなく、ちゃんと意味を持っている。 こういった作品が賞を取るべきではないかと思います。 最後は相応の最期で幕引きですが、読者の勇気次第で違った読後感を味わえます。 三年越しの完結、そして勇気ある発表有り難うございました。 勇気にも様々な意味が込められています。
あの日、僕等は罪を穴に埋めた。 その記憶を、必死に消し去ろうとして日々を過ごしてきた幼なじみの5人。 そしてその「罪」から逃げ出そうとする5人を捕らえるかのように起こる事件。 過ちを犯して、人は悲しいかな「過ち」に気付くことがある。 必死に自分を保つためにそうせざる得なかったとしても、それでもいかなる理由があろうとも罪は罪だ。 目を背け、忘れたりたいと願っても、過去は変わらないなくならない。 逃げ出しても逃げ出してもいつもすぐ傍にあるその過去。 大きな過ちをした主人公。逃げ出して忘れ去ろうしたけれど、徐々に向き合う姿には決して人のせいにしない思いがあり、常に自分を責める彼にとても胸が苦しくなりました。 とても身勝手でとても我が儘でとても攻撃的で、だけどとても繊細で、弱く優しく、徐々に逃げず罪に向き合う彼を 私はとても愛おしく思います。
何が正しくて何が間違いなのかを判断をするのが難しい思春期の彼らが、犯してしまった罪。 取り返しのつかない現実から逃げ続ける罪悪感。 そして、罪を償う時を迎え、今だからこそ知ることになる真実と思い出す惨劇。 ただ、私たちも彼らの様に、無意識に現実から逃げ続けているのかもしれない。 彼らが、現実を受け入れていく葛藤は、私たちにも似ている。誰にでもあること。 人の汚れや葛藤などがリアルに描写されているので、人事いや普通の小説を読んでいる感覚にはなれず、ただ自分の目の前でおきている錯覚を感じてしまう。 生きていくからこそ、人と関わっていくからこそ、乗り越えなければ、ならないと改めて教えてくれる作品です。 生きていくことに悩んでいる方、是非読んで下さい。全てを読み終えた時、何かが見えてくると思います。
『俺達だけの秘密だからな』 何があり、どうしてそうなってしまったのか。プロローグの緊迫感が次の頁へと気持ちを急かしました。 あの日、僕等が埋めたのは何だったのだろう。想いか、弱さか、明日か昨日か。 埋めた場所から芽生えたのは何だったのだろう。罪の意識。罰せられる理由。後悔。懺悔。 あの時ああしていたら、こうしていれば。たらればは後から湧いて来るのに、その時に限って気付かない。 人は時にどうしようもなく残酷で醜く、弱い生き物で。けれどそれが悪いのではなく、目を背けたまま弱さを言い訳に逃げることが悪くズルいのだろうと思いました。 逃げるな 逃げるな 受け入れろ NANAさんワールドの中に込められた勇気とは何か、読んだ方の数だけある物語の完結をぜひお確かめください。 絡みつく様な怖さの中に響く言葉があって、涙が滲みました。素敵な作品に感謝を。
主人公の感情が丁寧に描かれていて感情移入しやすかったです。衝撃的な展開にハラハラですが、ホラーが苦手な方にも是非、読んで頂きたい作品です。
ずっとこの作品の完成を心待ちにしてました! 忘れることができなかった……胸に焼き付いてたあのプロローグが、記憶よりも激しく心を支配し、掴み上げました。 もどかしい程の躊躇いに始まり、中盤から爆発する作者の持ち味。 まるで踏み込んではならない淵のように深さが急に増すのです。 この物語の根底にあるものに気付いた時、読者さんはまた読み返したくなりますよ、きっと。 パノラマ仕立ての人間模様に想像力を掻き立てられてしまいますもん。 言葉遊びも一際楽しく。 まさに作者さんらしさ全開の逸品です。