「多分、俺と幸次が言いたいことって同じなんじゃないかな」
「言いたい、こと?」


自分でもらしくないなと、そう思えるぐらいにたどたどしく純粋な気持ちで聞き返した言葉。そんな俺を見て、聖は一度幸次に視線を移し、二人で微笑み合ってから答えをくれた。


「やっぱり、どうしたって俺達は親友で、……美菜にしたことは決して許されるものではないし、罪を償わないといけないけど。千秋を一人にはしない」
「ああ、千秋だけが悪いンじゃねえもんな。俺達だって同罪だ。美菜が許せねえのは千秋だけじゃねえよ。俺達のこともだ。お前さ、ずっと〝俺のせいだ〟って顔してンだもん」
「昔の千秋からしたら考えられないよな」
「そうそう!昔はもっと尖ってて俺様上等!唯我独尊!つー感じだったもんな?ま、そんなとこも好きだったけどよ」


陽の落ちた校庭で、代わる代わるに撫でられていく頭がくすぐったい。人に触れられても不快に思わないなんて、いつぶりだろうか。


「最後まで一緒だろ?」
「本当はさ、最悪の結果になる前にこーゆう話が出来てたら良かったのにな。そしたら美菜とも笑い合えてたかもしんねえじゃん?」


聖と幸次の言葉が、存在が、余りにもあたたか過ぎて辛かった。もう陽は沈んでいるのに。あとは闇に呑まれるだけなのに。なのに、そこには確かに温もりと眩しさが残っていて、眩暈がする。