部屋の中に入ると、そこはココナッツのお香が充満していた。






壁には怪しいタペストリー。
薄暗い部屋の真ん中にはベールで覆われた神秘的な場所。






気味悪い。


「お前、変な顔すんな」


アルフは小声で言う。


「だってさ、ヤバくない??」



「ルルフが世話になった奴だ。ヤバくないわけないだろ??」



………ちょっと、言葉選んでくれないかな?




「アル!!何してるの!!早く」



ルルフさんが手招きするのでアルフの後をおずおずと歩く。






「お前、名は??」



部屋の中央から声がした。
ベールに覆われていて顔はよく見えないけど声質からして女、しかもなかなか高齢みたい。






「グロリス王国第一王子、アルフ・グロリスと申します」



慣れた口振りでスラスラ話す。