あなたに、会いたくて。


会いたくて、会いたくて。


……でも、会えなくて。



最後に会ったあの日を、今でも思い出すの。




「元気でな。」



そう言ったあなたの声まで、鮮明に覚えてる。


引き止めたくてもできなかったあの日。


私は、涙をこらえるのに必死だった。


泣いたら本当にそこで終わってしまいそうで、怖かったから。


だから、泣かなかった。





海外に留学するって言い出したあなたを、最初は応援できなかった。


ただただ、「うそだ。」と言ってほしかった。


その一言を言ってくれれば、度が過ぎた冗談も許してあげるよ。


そんな風に頭のどこかで思ってた。


……その時点で、彼女失格だったのかもしれないね。


現実を信じられなくて、ただ悲しくて……。


その報告はあのときの私にとって、衝撃的すぎたんだ。



私がしっかり受け止めていれば、こんな風にはなってなかったのかな。


機械を通してでも、笑い合えていたかな。


そう思うと、つくづく自分の未熟さが身にしみてくる。


あのときの私は、幼かったから。


でもね、それくらいあなたのことが、大好きだった。


本当、大好きだったよ。



ねえ、……。


もう忘れさせてくれても、いいのではないですか。


あれから、何年経ったと思ってるの。


いまだに、好きな人ができないんです。


あなたが、やっぱり大好きで。


どうしても、忘れられない。


もう会うことはないから、好きでいたって無意味なのにね。














「……うそだ。」



「誰がもう会わないなんて言った?」










「うそだ。」

と言ったけれど。


──────誰もうそだと言わないで。