泣きながらキスをせがんだら、翔太は何も言わずにふんわりあたしを抱きしめた。



「…翔太?」



なんで、キスしてくれないの?

そう思っていたら、翔太があたしの耳元で言う。



「大丈夫だよ、世奈ちゃん」

「…?」

「何があったのか知らないけど、世奈ちゃんには僕がいるでしょ?」



翔太はそう言って、あたしの頭を優しく撫でた。

何度もキスをするよりもどこか落ち着くその感覚に、あたしはしばらく翔太に身を委ねていたのだった…。



******



そしてそれから学校を出ると、家に帰るにはまだ早いから、あたし達はちょっとだけデートすることにした。

途中、喫茶店でケーキを食べて、プリクラを撮って、今はショッピングをしている。

そうしているうちに次第にさっきの寂しさも薄れていった頃…



「!」



突如、あたしの携帯が鳴った。

見てみると、それは健からの着信で…。


あたしは翔太が隣にいながらも、すぐに電話に出た。