その温もりになんだか安心したあたしは、翔太に言った。
「ねぇ、チューして」
そう言って、あたしは翔太の目を見つめる。
そんなあたしの言葉に翔太は一瞬びっくりしていたけど、やがて「いいよ」と頷いて…
「…っ、」
周りにまだたくさんの人がいるなか、あたしにキスをした。
「…満足?」
口を離すと、翔太はそう言ってあたしの目を見つめてくる。
普段のあたしならこんな公の場でそんなことは言わないのに、だけど今は違った。
「…もっと、」
「え、」
「もっといっぱい、チューして」
「!」
あたしがそう言うと同時に、何故かあたしの目からは自然と涙が溢れる。
なんで泣いてるのかは自分でもわからない。
ただ、さっき健に缶コーヒーを渡しに行こうとして近づいたあのとき、あたしはなんだか健が遠くに感じた。
いや、でも小学生の時からあたし達は仲悪かったし、今更遠くに感じることも可笑しいんだけど…。
「…世奈ちゃん?」
でも…
「翔太、もう一回チューして」
何故か今は凄く…凄くサミシイ。