だけどそれからの健は一人で得点を重ねていって、ほとんど健のおかげでうちの学校が勝っていた。
…サッカー部のエースだから、どんな感じなんだろうと思っていたけど。
まさか健がここまで凄いとは思っても見なかったな…。
「…帰ろう、世奈ちゃん」
そして試合が終わった直後、翔太がそう言って椅子から立ち上がる。
「あ、待って!」
だけどあたしはちょっとだけ健と話がしたくて、帰ろうとする翔太の腕を掴んで言った。
「ちょっとその前に寄りたいところがあるの」
「え、」
「翔太はここで待ってて」
「ちょっ…世奈ちゃん!」
あたしは翔太にそう言うと、翔太をそこに残してその場を後にした。
そして健に会う前に、健のために自販機でジュースを買う。
…あ、間違ってあったかい缶コーヒー押しちゃった。まぁいいか。
本当はスポーツドリンクを選ぼうとしていたのに、あたしは全く違うそれを持って健がいるだろう場所に向かった。
でも…
「きゃー、相沢くーん!」
「!!」
その瞬間、目の前の光景に思わずあたしの足がピタリと立ち止まる。
だってそこには…
「相沢くん、超かっこよかったよ!」
「やっぱ超好き!」
「はいこれ、スポーツドリンク買ったの。飲んで!」
たくさんの女子達に囲まれている、健の姿があったから。