《夏が始まろうとしていた、今日も何気ない1日を送ろうとしていたあの日。
あの日から、私の生活は変わっていった》


「最近、急に暑くなったね~」



「そうだね~」


こんな他愛ない話をしていた、昼休み。


「これ、今日中に提出してって先生が.......」


そう言って大量の紙を私の机に置いてきた、1人の男子。


田中....... なんだっけ?


あ.. 田中智輝(タナカトモキ)だ。思い出した。


「あ.. ありがと。」



「うん。」



「えー、彩子って田中と知り合いなの!?」


と、びっくりした顔で聞いてくるもも。


....... んなわけないじゃん。


私も今まで名前忘れてたぐらいだよ.......


「ちがうよー。今日初めて喋ったし。」



「だよねー。あんな陰気な男と知り合いなわけないよねー」


クラスでも、全然目立たない彼は、いつも1人でいる。