いつも上の空って感じで、ボーッとしちゃってる。

でもなんにも言ってくれないから、あたしは黙ってそれを見てることしかできないんだ。

「あっ、ねえ!見て!」

ふと視界に入った、電柱に張ってあったチラシ。

「花火大会?今年も屋上で見るの?」

「見たい!いい?」

毎年このへんでは夏に2回、花火大会が行われる。

一回目は夏休みが始まる直前、二回目は八月の半ばだ。

二回目の花火大会は一回目のものより大規模で、屋台もたくさん出るし、ステージもできる。

だから、毎年一回目は颯と屋上で、二回目は早紀ちゃんたちと行ってるんだ。

マンションの屋上は誰も知らない穴場で、すっごく花火がきれいに見えるの。

「いいけど。その日お前三者面談じゃなかった?」

「それはお昼には終わるよ!楽しみ!」

今年は浴衣とか着ちゃったりして!