目的地の駅に到着し、時計を見るとすでに昼前。

そういえば腹も減った。

確か公園のまわりは食べるとこないんだっけ。

駅の周辺の店で食べたほうがいいよな。

「実結、この辺でなんか食う?」

すると実結はきゅうにもじもじしだした。

おかしい。いつもなら食べ物の話になると目を輝かして食いついてくるのに。

「どうした?腹減ってねえの?」

「あのね、今日…お弁当作ってきたの。お花見しながら食べれたらいいかなって思って…でも美味しくないかもしれないし、やっぱりいいや!」

もしかして手にいっぱい絆創膏張ってるのってそのせい?

料理苦手なくせに…

「行こ。」

俺は公園に向かって歩き出す。

「えっ…でもこの辺にしか食べるとこないよ?」

実結、お前はバカだな。

そんなの、決まってるだろ?

「花見しながら弁当食いたい。」

自分から言っておきながら恥ずかしくて実結のこと見れない。