それから駅までの道のりは、二人とも無言。

いつもなら実結が色々話すのに、今日はやけに静かだ。

駅について、切符を買い、ホームに入る。

「ねえねえ!君!」

肩を叩かれて振り替えると、ケバい化粧をした多分大学生くらいの女が二人。

「あたしたちと遊ばない?」

そう言うと一人が俺の腕に自分の腕をからませた。

たちこめるきつい香水に頭がくらっとなる。

「あ、妹さんも一緒にくるー?可愛いねぇ、中学生かなぁ?」

そしてもう一人が実結に向かって言った。

は?こいつら、何いってんの?

実結を見ると、今にも泣き出しそうな顔をして、唇を噛み締めている。

「妹じゃない。こいつは俺の彼女。」

そう言って俺は実結の手をぎゅっと握りしめる。

「へ?彼女?」

まぬけな顔をして俺たちを見比べる女。

「そうだよ。後、俺、あんたらみたいなチャラチャラした女に興味ないから。」

それだけ言うと、実結の手をひっぱって、ちょうどやって来た電車に乗り込む。

後ろでなんか文句言ってるけど完全無視。

「…っ颯、ありがと。」

「ばーか、泣くなよ。化粧落ちるぞ?」

堂々としとけよ。

あんなやつら、お前なら目じゃないのに。