「あー!新学期そうそうついてないわ!よりによってなんであんな席なのよー!」

早紀ちゃんが騒ぐ。確かに教卓の真ん前はちょっとね…当てられやすいし。

「まあまあ、勉強に集中できるかもよ?」

「えー、…ん、まあね。今年は受験だもんね。」

受験かー…なんだかあまり自覚がない。

とりあえず進学はしたいけど、まだはっきり将来の目標があるわけでもないからな…


「ほらー、席についてー!」

入ってきたのは一年生のときに担任だった石原先生。まだ二十代で若くてかっこいい爽やかな生徒に人気の数学の先生。

よかった!話しやすい先生で。今年は受験だから進路相談とかするとき、話しやすい先生がいいもん。

先生がいくつか連絡を終えたあと、体育館へ始業式のため移動。

あたしは多分このクラスで一番背が低いけど、このときだけは真ん中らへんに並べるんだ!

まあ、すぐに身体測定があって先頭になっちゃうけどね。