「まずは…あれ!あれ乗ろうよ!」

茜が指差したのは…

ジェットコースター。

乗客の悲鳴がどれだけ恐いのかを物語っている。

俺は絶叫系マシーンは乗れるけど…

「…っ!あ、あたし、下で待ってる!だから3人で行ってきて?」

まだ乗ってもないのにガタガタ震えてる実結。

見ての通り、絶叫系が大の苦手の実結。

実結の反応に口を尖らせる茜。

「じゃあ俺とみゅーで待っとくよ。茜と颯乗ってきな?」

葵が口を開いた。

は?なんで俺が茜と…?

「俺は…」「わかった!行こっ!颯!」

行かないと言おうとした瞬間、茜に強く腕を引っ張られ、列の中に無理矢理連れ込まれた。

後ろには他の客がならび始め、後には戻れない状況。

くそっ…葵のやつ…

「もしかして怖いの?颯ってばかわいー!」

茜が背伸びして俺の頬をつついてくる。

「バカ、そんなわけねえだろ!俺は…」

あいつらを二人にしたくないんだよ!

なんでこうなるんだ?

わけわかんねー!



「楽しかったねー!あー、スッキリ!」

茜が清々しい顔で背伸びをするのと反対に俺の顔は多分、相当不機嫌。

乗ってる間中、下の実結と葵が気になってしたばかり見てたら気分が悪くなった。

そのうえ、超高速スピードの下降のせいで頭はガンガンするし、視界はぐらぐら。

「お疲れさま!怖かった?」

笑顔で尋ねてくる実結。

「あたしは全然平気だったんだけどさ、颯ったら相当怖かったみたいで乗ってる間ずーっとあたしの腕つかんでたの!」

おい!腕つかんでたのはお前だろ!

と言い返す気力もない。